Ryu’s Blog

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あの時、衣裳さえ持ち込めたら… その1

いろいろ 2012.10.10

僕が、とある結婚式場で働いていたころの話です。

ふとした時、いつも思い返しては、やるせない気持ちになることなので、
賛否両論はあるでしょうが、敢えて書きたいと思います。
そのお2人は、特に新婦様ですが、
衣裳に強いこだわりをお持ちでいらっしゃいました。
数会場見学したのち、
当時私が働いていた会場に見学にお越しいただいたのですが、
会場案内後、
「値段は少し高いけど、会場の雰囲気、スタッフの対応含め、
 こちらが一番気に入ってます…」
とのお言葉をいただくことができました。
「ありがとうございます。他に回られるご予定はありますか?
 特になければこれもご縁ですので、お話を進めさせていただいてもよろしいですか?」
とのご返答をさせていただきました。
すると、新婦様が、言いにくそうに、
「実は、もうすでにウェディングドレスは、心に決めているものがあるんです…
 それが持ち込めるかどうか、そこが一番知りたいんです…
 そこが一番重要なんです…」
との言葉を投げかけてこられます。
当時私が在籍していた会場は、
いわゆる‘持ち込み’というものに対して、執拗なまでの規制をかけており、
ミーティングでも再三、‘断固持ち込みは阻止’との厳命を受けておりました。
なので、「上司に掛け合ってみます…」とは言うものの、
回答は‘絶対無理’となるのは、目に見えておりました…
わかってはいるものの、
「ドレスさえ持ち込めれば、
 お2人は今すぐにでもこの会場で結婚式をしてくださる意思があるんです!」
との熱意を、幾度となく上司にぶつけますが、
「このお客様に許可すれば、ネットで瞬く間に広がって、収拾がつかなくなる。
 ウチで良いドレスを提案するからご安心ください、と納得してもらうのが君の仕事だ!」
との一点張りで、まるで話が通じません。
しぶしぶお客様のもとへ戻り、
「やはり持ち込みは難しいとのことです…申し訳ないです。
 なんとかウチで衣裳を提案しますので、都合の良い日を教えてください!
 ウチの衣裳サロンに見学に行きましょう!」
との回答をするのがやっとでした。
お客様は、ひどく落胆した様子で、
「わかりました。取りあえず、衣裳は見ます。
 ただ、私の気持ちは変わらないと思います…」
と仰られ、その日はお帰りになられました…
(続く…)